今日はAaron Goldberg ピアノトリオのアルバムの中からのお届けです。アメリカで現代を代表するジャズピアニストとして素晴らしい演奏活動を繰り広げているミュージシャンですが、なかなか日本でのライブはなく、ニューヨーク辺りに旅行に行く事があったらまず彼のライブに行きたい、、是非彼の生でのピアノを聴きたい、と思っています。とはいえ、こうしてインターネットの普及のおかげでライブ映像も観て楽しむ事ができるのはあらためて凄いことだなぁと思いますね。彼のピアノは、マッコイタイナーを思わせる芯の強さと美しさを備えたピアノの響きそしてアプローチで、コンテンポラリーでありながらモダン、テクニカルな面の素晴らしさは当然の事、アルバムは楽曲の流れと共に物語を紡いでいくようなストーリーを感じます。今回お届けの曲は、アルバムAt the Edge of the World から『Luaty 』。Aaron のオリジナル曲です。このアルバムでのメンバーは、Matt Penman (b )、Leon Parker (ds )。彼の中では一番新しいアルバムですが、今までのアルバムとはまた違う感動を与えてくれます。秋の夜長、読書を楽しむ感覚でAaron のアルバムのストーリーを追いかけるように聴きいるのも素敵なひとときです。穏やかな夜をあなたに…。

月が綺麗な季節です。切ない程に静かに輝く月を眺めていると優しい気持ちになってくるような気がします。いろんな別れがあり、いろんな出逢いがありそんなことの繰り返しで時が過ぎていく…。でも、そんなことお構いなしに自然は流れていき月は毎日違う表情を見せ、海は深い底に誰も知らない道を造り続ける…。その中で私達人間は自分だけのドラマがあり、過ぎていきます。今日はこの曲が聴きたくなりました。『En La Orilla Del Mundo 』英語で(At The Edge of the World )と言います。様々なヴァージョンがありますが、今回はべーシストのCharlie Haden リーダーのアルバム Nocturne からのお届けです。このアルバムはキューバ、メキシコのスタンダードナンバーを中心とした作品で、ピアニストはGonzalo Rubalcaba 、哀愁漂うラテンアメリカを感じるスタイルは一音一音、『音』という世界に集中して聴いていると月の光に吸い込まれそうです。このアルバム…というより、Charlie Haden の『En La Orilla Del Mundo 』が凄く好き。月の孤独を感じ、それを美しさに変えてくれる…そんな感じがします。あなたにもこの世界観を届けられたら嬉しいな…。

最近よく聴いているミュージシャンがこのKurt Rosenwinkel です。アメリカのジャズギタリストですが、スーパーギタリスト、ギターヒーロー、様々な肩書がある人で、バリトンギターで語りかけるようなギターから破壊を感じるほどの刺激的なアプローチまでどれも素晴らしく、特に音に集中して気分をリセットしたい時には、今回お届けするような彼の率いるKurt Rosenwinkel Group の演奏は凄くテンションを上げてくれます。何というのか…例えば、ロック好きな人がロックフェスに行って最高にenjoyしたよ!なんていう感じに似ていますネ。今日お届けするアルバムは、2008年NY Village Vanguard でのライブ盤。どのジャンルも一緒ですが、素晴らしい音楽は破壊力を持っていてもうるさくない。寧ろ、刺激を与えてくれてアグレッシブな気持ちにしてくれるチカラを持っています。自分が演奏する時も忘れてはならない事、、といつもこういったプレイを聴く度に思います。今日はそのアルバムの中からあなたにこの曲を…。『Chords 』。たまにはこんなプログレ的なジャズを『音』に集中して聴きいってみるのも素敵な時間です。今夜はジャズの圧倒的な破壊力に酔いしれてみて下さいね。そして、今週もエネルギッシュな毎日になりますように…!

皆さんはTATSUYA というBEATBOX (ヴォイスパーカッション)のミュージシャンをご存知でしょうか。ジャズを中心に演奏活動している私ですが、ふとした事で彼を知りました。リズム…という世界観は音楽にとって、それがクラシックでも、、実は物凄く全ての楽器において重要な感覚であり、それを実際に作り出す打楽器(ドラムやクラシック界では小太鼓、テインパニー、シンバル等)奏者は特にキーマンとも言える存在なのです。そのリズムセクションを楽器でなく自分の声でやってしまう…そんな一つの素晴らしいアーティストの一人がこのTATSUYA という人です。彼のBEATBOX は音色の美しさもグルーヴもダイナミクスのセンスも、全てもう感動的です。時代と共に音の世界もアップデートされていくとはこういう事なのか…と思わされます。今日は、そのTATSUYA が参加しているバンド『晋平太&ゆゆうた&虹色侍ずま& TATSUYA 』をお届けです。即興バンドとして活躍しているグループですが、虹色侍の創り出す旋律、それに乗せての歌詞、シンプルに心打たれます。あなたにもそんな世界観を今日はお届け。『LINE 』。ヴォーカルとラップ、バックの演奏はピアノとヴォイスパーカッションのみ。これもちょっとした感動です。ちょっぴり切ない青春の歌ですが、ピュアな気持ちにさせてくれますネ。素敵なひとときになりますように…。

JAZZ界を代表する偉大なる作曲家そしてサックス奏者のBenny Golson が先月末に亡くなりました。享年95歳でした。Benny Golson といえば『I Remember Clifford 』『Killer Joe 』等の名曲の作曲者で、スタンダードナンバーとして私達ジャズを演奏する人間は彼の曲を当たり前のように演奏させて頂いています。スモーキーだけれど甘い音色、一度聴いたら忘れられないメロディと洗練されたコード、演奏家としても作曲家としてもこの時代(1950年代)トップのミュージシャンの一人だったと思います。この時代…とは言いましたが、、現在の時代においてもなんの衰えもないサックスの音色、アプローチ、、まさに音楽のために生まれてきて、音楽のために生き抜かれた…素晴らし過ぎる巨匠です。代表曲はありすぎて選べないほどですが、今夜は心地良い秋風と共に月を眺めながら彼のアルバムをずっと聴いて過ごそうかな…。そして、あなたに今日はこの曲をお届けします。彼の最後のスタジオ録音アルバムHorizon Ahead から『Horizon Ahead 』。リリース当時、87歳という年齢など感じさせないサックス演奏、叙情的で切なく私の心に語りかけます。彼のインタヴュー記事で見た作曲家としての語りです。「自分の心で感じたことを書かなければならない。人々を喜ばせるために書くことはできない。自分が感じていることでなければならない。そうでなければ全てが無意味になって、嘘になってしまうんだよ。自分に正直でなければならない…」その記事を読んで彼の音楽感そして人間性を知りました。Benny Golson のサックスには魂の囁きを感じます。その彼から産まれたメロディは彼の優しさ強さと共に私の心に響いてくるのです。月の綺麗な季節、Benny Golson の残してくれた素敵なサウンドと過ごす贅沢なひととき…いろんな事に感謝の思いを込めながら。

月が綺麗な季節です。だんだんと秋の風も感じますね。こんな日の夜には月を眺めながら静かに大好きなアルバムを聴く…私にとっては何よりも贅沢な時間です。こんな月夜をもっともっと素敵にしてくれる私の大好きな曲をあなたにお届けします。Pat Metheny のアルバムMoon Dial 。ナイロン弦のバリトンギターで演奏したギターソロ作品です。昔から大好きなギタリストの一人で、特に彼の世界観は、詩、或は美しい小説のようなギターの音色、アプローチで、メッセージ性のある激しい展開のプログレ的な曲もカッコよく刺激的ですが、その反対にそっと語りかけるような優しさを感じる美しさ、時には力強さ、ギターソロは本当に涙出る程に切なさを感じる…そんなギタリストです。その中でもこのアルバムは、バリトンギターの音色がたまらなく美しい。弦の震えや空気の振動まで感じます。綺麗な秋の月に似合う。自然がもたらす月の美しさと素晴らしい音楽のエネルギーを全身に受けていると、日常の様々な事を忘れて何処か知らない世界に連れて行ってくれます。本当はアルバム全て聴いて頂きたいのですが、今日はその中からあなたにこの曲を贈ります。『Falcon Love 』。穏やかな秋の夜に似合う、Pat Metheny のギター、素敵なひとときになりますように…。

昨日の9/18、満州事変が勃発した日。この時代は現在の感覚では考えられない様々な動きがあった、、と教えられその様に解釈して学んできました。歴史的な事について個人の考えを述べることはあまりに危ない事と思いますので、その話は別の機会にするとして、満州事変と言うと私の中で登場する一人の人物が、愛新覚羅溥儀。この事変において溥儀は、関東軍とのやりとりで満州国を取り戻したものの、その後日本の敗戦と共に満州国は崩壊の道を辿る事になります。私にとってはそういった歴史においての存在だった、それがBernardo Bertolucci 監督による映画ラストエンペラーの主人公、溥儀 です。溥儀自身の人生は映画ラストエンペラーを観て知りました。国王だった存在から様々な背景とともに最後は庶民の暮らしになり、でもそれはそれで幸せな晩年だったのかもしれません。そして、このラストエンペラーという映画の最後のシーン、なんの色気もないブザーの音と、清王朝の歴史に微塵も興味がなさそうなツアーガイドの解説によって締め括られる…という時の流れの無常さ…。諸行無常…でもこの切ない時の流れを知る…私達の人生もそんなもの…何故か好きなラストシーンです。曲は言うまでもなく、坂本龍一氏による作品『The Last Emperor 』。秋の夜に似合う…。切ないけれど美しい…そんな世界観をあなたに…。素敵なひとときになりますように。

今日は日本を代表する作曲家、服部克久さんのアルバム音楽畑からのお届けです。まだまだ夏のような暑さが続いていますが夜はすっかり秋の風。夜空に浮かぶ月を眺めながら過ごすには最高の季節ですね。そんな時、私は車を運転しながら過ごすのが凄く好きです。車を運転しながら夜の街を眺めていると、車の窓から見える景色と自分だけの世界を行ったり来たりしている私がいて、いろんな事を考える時間がなんとなく面白い。その時の気分に合わせてお気に入りのBGM をかけながらゆっくりと走っていると通り慣れた街もちょっと見知らぬ街にきたような気分になります。今夜も月と一緒にドライブ、Night Cruise …に出かけてみようかな。。。と思います。今日は服部克久さんのアルバム音楽畑11と一緒に。言うまでもないレジェンドの作曲家服部克久さんは、ポップスもクラシックも分け隔てなくこなされる音楽家です。メッセージ性がありながらも優しく語りかけるような楽曲、日本人の強さをあらためて教えてくれる力強さのあるオーケストレーション、そして、なんと言ってもヨーロッパの街を思い起こさせるお洒落なリズムセクションの動き、本当に全てのジャンルのセンスを持ち合わされた方、まさに日本にお洒落な音楽…という世界観を持ち込まれた第一人者と思います。ご本人もお洒落で素敵な方でした。私が10代の頃は何曲かコードの動きを分析して、曲作りのヒントを頂いたりして、、と良き思い出です。さあ、今宵はあなたにもその素晴らしいアルバムの中からの一曲をお届けします。『Night Cruise 』。穏やかな秋の夜になりますように…。

日中はまだまだ太陽が眩しく、暑さは厳しい中ですが、やはり夜は秋の風を感じるようになってきました。夏の疲れも出る時、しっかり睡眠をとって身体を休めてあげて下さいね。秋の夜風を感じながら読書をしたり、ゆっくりと音楽を聴いたりしていると、四季のある日本の素晴らしさをあらためて感じます。夏の夜と比べると、なんとなく淋しさと切なさとが合わさって感傷的になる季節ですが…私は、この理由のない淋しさ切なさ、哀しさ、こういう感覚の世界に存在する美のようなものに何処か惹かれてしまうのです。ナルシシズムという感覚の一種なのでしょうか。こんな感覚こそ大切にしたいと思うのです。。 と、そんな事を想いながら今日はこの曲をお届けします。M.Ravel 作曲のBOLERO 。言うまでもなくクラシック音楽の中でもかなり有名な曲ですね。オーケストラの素晴らしさも感動的ですが、この押尾コータローさんのアコースティックギターソロのBOLERO も聴き入ってしまう、、本当に一人で演奏してるの?と思ってしまう位の音の厚み、ダイナミクス、素晴らしくて、初めて聴いた時は鳥肌がたちました。寧ろ、夜静かに一人で今の季節に聴くならコータローさんのBOLERO …。この曲の特徴は、あまりにも単調であまりにも長い…。そんな名曲です。この単調さの中の小さな音の変化が私は好きです。さらにそれに加えてコータローさんの繊細な弦の音色、演奏の展開がたまらなく好きです。今宵はあなたも押尾コータローさんのギターの音色に酔いしれてくださいね。素敵な秋の夜になりますように…。

Sergio Mendes が亡くなりました。大学生の時、運転免許をとり、そこから私にとってドライブの時はいつも一緒、自分のピアノ演奏においても物凄く学ばせて頂いた人、偉大であり青春と共に過ごしてきた、そんな存在のミュージシャンです。若き頃から亡くなるまでずっと第一線で活躍されていた方なので時代と共に膨大な数の名盤をリリースされていますが、どれも素晴らしく、好きな曲を選べと言われても出てこない程です。どの曲を聴いても自分が歩んできた様々な時代に連れて行ってくれます。本当に素敵な曲と演奏をありがとう…。さようなら、Sergio Mendes 、私の中ではずっと生きています。音楽センスと同じく、亡くなるまでダンディでカッコいい男性でした。今夜もSergio Mendes を聴きながら静かに過ごそうかな…と思います。そして、今日、皆さんへのお届けはこの曲。Sergio Mendes & BRASIL’66 の『Pretty World 』。オーケストラアレンジにはDave Grusin が参加してます。Sergio Mendes の醸し出すリズムの世界にこのストリングス、、、素敵ですね。Rest in peace Sergio Mendes …。