坂本龍一氏のアルバム「Out of Noise 」の世界観がとても好きです。生きているこの世界は「音」に満ち溢れています。生活音もあれば自然界の季節によって変化する音、音楽として作られた音、私達の会話も音のひとつ、そんな様々な音に包まれている事をNoise と解釈すると、このアルバムに於いての坂本氏のそれは音の乱れ、騒音等を指すのではなく「自然と共存する音楽」という世界観を見出そうとしたのではないか…。と思ったりします。音には必ず響きが伴い、この響きを大切に扱い表現されたものが素晴らしい音楽という一つの表現になるのではないか…。私はピアノに向かう時、いつも思っていることです。自然界にも素晴らしい響きがたくさんあります。風の音、海や川の水の音、鳥の鳴声、、、理論的な思考や人間によって作られた美しさを超えたところにある『美』、それこそが一番の安らぎの音なのかもしれません。このアルバムを聴くたびに、美しい響きを奏でられるピアノ弾きでいたい…と思います。さあ、今日あなたにお届けの曲です。その坂本龍一氏のアルバムOut of Noise の中から『hwit (白whiteの古典的な表現)』。因みに、、教授は『peaceful of mind (安らぎ)』について「いろいろあるけれど、やはり真の安らぎとは死なんだろうね」と答えていました。Out of Noise というアルバム、私の奥底にある感覚を刺激し、美しさや高揚感の原点にあるものを今一度教えてくれる魅力的な作品です。素敵な安らぎのひとときがあなたに舞い降りてきますように。
dially
Roberta Flack の歌に感じる優しさ
Roberta Flack が亡くなりました。彼女の代表曲の一つでもある、この『Killing Me Softly 』は何もわかっていない子供の頃エレクトーンのレッスンでこの曲を聴いて、なんて素敵で格好良い曲なんだろう…と感動し、(当時、私はピアノと同時にエレクトーンもやっていましたので)リズムボックスと一緒に色々と工夫して(コード展開やリズム展開とか)演奏していた懐かしい曲です。実際にRoberta Flack を知ったのは私も大人になり、様々な音楽に触れる中「ビッグスターRoberta Flack 」としてですが、ジャズもソウルも歌いこなす偉大なるシンガー、あらためて今聴いても彼女の歌声はソウルフルな中に優しさを感じる世界観があります。久しぶりに聴いていると彼女の歌声、バックメンバーのジャズミュージシャン達のお仕着せのない演奏、、、そんな空気が優しい気持ちにしてくれます。『Killing Me Softly 』、よく仕事で私自身演奏していますが、Roberta Flack に想いを込めて今日も演奏させて頂こうと思います。あなたにも届きますように…と思いも込めて…。R.I.P Roberta Flack …。
ちょっと車で一人ドライブ…な気分
音楽情報サイトでPaul Weller のコメントを目にしました。Paul Weller を私が知ったのは、The Style Council のリーダーの時代で、とにかくお洒落でカッコいいイギリスのバンド…という、何もかも素敵(に見える)な大人の世界に憧れる年頃の時でした。Paul Weller …懐かしいなあ、、と思い現在の彼を久しぶりにネットで知りましたが、やはり歳を重ねてもカッコよさは変わらず今はソロで活動されています。思い出せば、、、The Style Council のこの曲を流しながら車を走らせる大人になった自分の姿を想像しながら青春期を過ごしていたな…。大人になった今の私は、車を運転して窓から見える景色やその時に流れる音楽、一人きりの空間、運転に集中するその感覚、全てが好きで、車は趣味、というのかなくてはならない自分にとっての一つの大切な宝物です。その青春時代に想像していた事が叶って(こんな感じで自分にとっての小さな憧れは結構身近なものだったな笑…と思ったりもします笑)愛車と共にリラックスタイムを過ごし、そこでいろんなインスピレーションが生まれたりして今の自分が作られている気がします。なかなか、遠出はできませんが、ちょっと夜の一人ドライブ…というのも好きな時間。久しぶりにThe Style Council をバックに車を走らせてみようかな…。そんなことで、今日はあなたにこの曲をお届けです。The Style Council の『My Ever Changing Moods 』。今日も寒いです。風邪ひかないように過ごしてくださいね。
儚さ、美しさ、切なさ、『愛』はそういうものかもしれません
カズオ・イシグロさんの書く世界が好きで数年前からよく読むようになりました。長編を読み出すとその期間はその世界に入ってしまい今の自分とのバランスがとれなくなる程取り憑かれてしまうストーリーもありますが彼の表現する描写、展開は私に心地良い刺激を与えてくれます。最近は長編を読む時間がなかなか取れない中、素敵な短編集に出会いました。『夜想曲集』という音楽をテーマにしたストーリーが綴られています。その中で、「ラジオからChet Baker の『I Fall in Love Too Easily 』が流れてきた…」というシーンがあり、私自身仕事でよく演奏している名曲ですが、久しぶりにChet Baker を聴きたくなりました。シナトラで有名な曲ですが、私はChet のこの気怠さと切なさが相まったトランペットと歌声が私の心を揺さぶり…苦しくなる儚さ、、とでもいうのか、そんな世界観がとても好き。今回は、1953年にリリースされたものと、1988年生前最後の作品をあなたに贈ります。最後のChet はホテルの2階から転落して亡くなり、体内からはヘロインとコカインが検出されました。享年58歳。彼の人生は悲しいものだったのか、或いは彼なりの様々な幸せに満ちたこともあったのか…。当時のジャズマン達の人生は本当に切ない。素敵な名曲、Chet Baker の作り上げる『I Fall in Love Too Easily 』の世界。そっと一人で静かな夜に聴いてみてください。穏やかなひとときになりますように…。
人生、長いようで短く短いようで長い…。カッコよく生きようと思う
また明日から寒くなるという予報が出ています。今は風邪に気をつけて春が来るのを待つ時期ですね。地球上の或いは宇宙の中の動きに私達人間は合わせて生きる一生命体で、それが一番幸せな事なのかもしれません。人間同士の争いや諍い、妬み嫉み…、人は醜い生き物です。まあ、1000年前の枕草子の中でも清少納言がいろんな人間関係を綴っていますからこれは時代とか関係なく人間の持つ習性なのかもしれません。ただ私は思うのです。結局どの人間も宇宙単位で見たらただの小さな生命体であり時間にしたらほんの瞬間の出来事にすぎない。であれば、怒りの気持ちで過ごすより自分にとっての楽しい事を考えながら過ごす人生にしたい。それこそが最高にカッコいい生き方なのではないかと。余裕を持った笑顔で過ごしていきたいですね。さあ、今日あなたにお届けの曲は、Donald Fagen が2006年にリリースしたアルバムMorph the Cat からの一曲です。このアルバムはアメリカ同時多発テロの経験の後に発表されたもので、彼の中での沈思と死がテーマになっています。が、人を落ち込ませるアルバムは作りたくないという彼のポリシー通り独特の空気感と格好良さに溢れています。やっぱりDonald Fagen 、カッコいいレジェンドです。今回はその中から『Brite Nightgown 』。春はもうすぐそこです。今は身も心も暖かくして過ごしてくださいね。幸せな春に向かって…ね。
Snow Moon と一緒に…。
寒い毎日が続いています。仕事が終わって帰る夜11時頃の夜空は深々と冷え込んでいますがとても綺麗な空気が張り詰めた感じです。お天気の良い日は月も凄く綺麗。今月の満月は「Snow Moon 」と名付けられています。寒さとの付き合いもあともう少し…と思うとこの美しい夜空に浮かぶ月や澄んだ空気もありがたく楽しませて頂こうと思うこの季節です。Snow Moon に似合う曲です。Kurt Rosenwinkel のギターソロアルバムBerlin Baritone から『Feelin the Blues 』。このアルバムは全てKurt のバリトンギターソロ。Kurt のギターテクニックが冴え渡るのは当然のことながら、彼から放たれるバリトンギターの音色の美しさ、個性的な和音、繊細なタッチ、全てに包み込まれて不思議な世界に連れ出してくれます。。都会的でありながら端正な響き、世界観はまさにSnow Moon が似合う…。月を眺めながら音の余韻に酔う。そんなアルバムからのお届けです。因みに、今年のSnow Moon は明日、2月12日という事です。お天気に恵まれると良いですね。風邪をひかないように暖かくして過ごしてくださいね。Snow Moon の下、この曲と一緒にあなたにとって静かで穏やかなひとときが訪れますように…。
Just the Two of Us という名曲に、あらためて偉大さを感じながら…
今年に入って仕事の都合でずっと都会暮らしです。自然に溢れた静かな場所が好きな私にとって少し寂しさもありますが、都会には都会の様々な発見もありそれが楽しかったりあらためてその良さを知ったり…人の中で過ごしていくことの大変さと同時に心地良い刺激であったりもします。先日、いつも演奏しているBar での事、この『Just the Two of Us 』のリクエストがありました。お客様からも色々とリクエストを頂いているのですが、そのリクエストはBarのスタッフの男の子(なんと18歳という若さ笑)からで、思わず「君の年齢でこの曲知っているの?」と聞いてしまいました。彼曰く、ネットで色々と聴いている時に知った曲…という事らしく「この曲大好きなんです」と嬉しそうに教えてくれました。私自身、この曲をオンタイムで知った世代ではなくかなり時は過ぎて知ったサウンドですが大学生の頃、この循環コードに取り憑かれ今もピアノに向かってなんとなくさっと出てくるコードはこの動きです。ジェネレーションギャップなんていう言葉はありますがやっぱり名曲は時代も年齢も関係なく語り継がれていくもの…ですね。さあ、今日あなたにお届けの曲はその『Just the Two of Us 』。ヴォーカルのBill Withers が作曲してサックスのGrover Washington Jr.がアルバムで発表した楽曲です。やはり今聴いても色褪せない都会的なこの世界観、名曲ですね。若者からのリクエストでこの曲の偉大さをあらためて知った事。。そして私解釈の『Just the Two of Us 』ピアノヴァージョンがひとつ増えたのも私にとってちょっとした収穫…。あなたにも届きますように、と願いを込めて今日も演奏させて頂きます。寒い毎日です。風邪に気をつけて、穏やかな夜のひとときになりますように。
時には浮遊しているかのように生きるのもいい…
私は、何か嫌な事があったり辛くなったり落ち込んでマイナス思考になりかけたりした時、宇宙単位でいろんな事を捉える習性、というか発想の人間のようです。宇宙は果てしなく大きい。その宇宙空間の中の一生命体として生きている自分はその歴史の上で考えると取るに足らないちっぽけすぎる存在であり、その自分の中の出来事なんていうのは宇宙単位でみたら瞬間にすぎない。だからと悲観的になるのでなく、だったらこの一瞬にすぎない私の人生、そうも悩まず気楽に生きるのもあり。時にはふわふわと空中に浮かんでいるような自分を想像して、流れに乗って疲れたら休み、ひたすら自分のペースで行こう…と思うのがいつもの私です。SNSをはじめ情報に溢れすぎてほんの少しの小さなことにも振り回されそうになる時代です。空を飛ぶ鳥のように自然の流れに任せて生きるのも時には大切なことなのかもしれません。そんな事を考えながら、今日はKurt Rosenwinkel のアルバムDeep Song からのお届けです。このアルバムは彼のGroup ではなくレーベル主導で出来上がった作品ですが、また違った彼の世界観が出ていて素晴らしい作品です。今回はその中から『Use of Light 』という曲をあなたに贈ります。ピアニストのBrad Mehldau の独特な世界観のサウンドにKurt の浮遊感を感じるサウンドがのるとやっぱりKurt Rosenwinkel の世界。こうして好きなサウンドに聴き入る事ができる…ちょっとした幸福感を感じながら過ごすひとときにも感謝したりするのです。宇宙は大きすぎる…そして無限です。でも、、、私達の人生は有限ですから…気分のいい生き方をするのも時にはあり…ですよね。頑張っているあなたに、疲れているあなたに、音楽と一緒にほんの少しでも穏やかな空気が舞い降りてきますように。
ひとりの夜、贅沢なひととき
気の知れた仲間やお友達、家族、様々な自分を取り巻く大切な人達とワイワイ過ごすのも楽しい時間ですが、時には一人だけの時間…というのも良いものです。ひとり静かに過ごしていると色んな事を考えます。最近あった事、この先の事、昔出会った人、出来事、色んな事を考えながら過ごす…それがいかに幸せなことか。人と合わせて協調性を持って生きていくことも大切ですが、自分を見つめて過ごす時間、、今ある日常と共に自分に正直に生きる。当たり前の事のようですが、今の社会は情報に溢れすぎて周りに流され自分で自分がわからなくなってしまいそうになります。あまり周りに流されない自信がある私ですが、、それでも時には彷徨い悩みます。いつも凛とした考えを持つ人でありたい…と思います。地球上に生きる一生命体の中で、私を含めて人はどうしても汚さ醜さを持った生き物。その中で時には戦い生きていく…せめて自分にだけは正直でいたい、そして色んな意味で優しくありたい…。そんな事を考えながらPat Metheny のアルバムのお届けです。バリトンギターのみのソロアルバムですが、本当に美しく聴き惚れてしまう。ひとりの夜、このアルバムを聴いていると凄く贅沢な時間を過ごしている幸福感に包まれます。今回のあなたに贈るのはアルバムOne Quiet Night から『North to South,East to West 』。静かにPat Metheny の美しいバリトンギターの響き、旋律に聴き入っているとふと優しい気持ちになります。あなたにも穏やかなひとときが訪れますように。
クールな音楽…そんな言葉が似合う
今日は久しぶりに日本のバンドのお届けです。私自身、曲のジャンルに垣根を作らず対応できる演奏を心掛けて日々ピアノに向かっているのもあり、日本のロック、ポップスも好きな曲、アーティストは何人もいます。今回はその中からSuchmos のお届けです。しばらく活動を休止していましたが、今年から再開するということです。Suchmos と言えば私の中で一番に思うのは、この心地良いグルーヴ、メンバー一人一人から醸し出されるこのクールなビートとヴォーカルYONCE の切ないまでの中毒性すら感じてしまう歌声の魅力。ちょっと冷めた感じで作り上げられる世界観はこれこそSuchmos 。一人でふとドライブに気分転換で出かける時、特に夜なんかは凄く聴きたくなります。今日はその彼等のアルバムTHE KIDS からのお届け。2ndアルバムですからかなり初期の作品ですが、私の一番好きなSuchmos のアルバムです。ちょっと淋しいけれど小粋で洒落た空間を作る…。この抜け感を持ったビートを作り出す演奏というのは簡単そうに見えて実はテクニックのいることなのです。お届けするのは『TOBACCO 』。メンバーでなんとなく合わせていて出来上がった、という曲らしいですが、ジャズの世界ではあるあるの話ですね。彼等はもしかしたらジャズもこなすミュージシャンなのかもしれません。さあ、最高にクールな音楽に酔いながら今夜は温かいお部屋で生姜紅茶でも飲もうかな(最近はまっていますが美味しいですよ笑)、ホットワインもいいですね…。外は寒いです。暖かくして過ごして下さいね。