日本人の誇りとも言える秋吉敏子さんの素晴らしさは語るまでもなく素晴らしいジャズピアニストですが、あらためて聴くと本当に彼女の力強い演奏に感動します。時代背景から言ってもビバップ全盛の時代、所謂、Charles Parker 、Bud Powell と同じ時代に同じ舞台で生きたジャズピアニストです。秋吉敏子というレジェンドは半端ない様々なものを乗り越えてピアノを弾き続けてきたのであろう…この時代の女性は精神的にとても強い…とは言われているものの更にジャズという音楽の世界の中ですから、カッコいいなんて軽い表現すら本来は出来ないのですが、彼女の特に30代の頃の演奏等は、、ごめんなさい…とにかく格好良すぎてそれ以外の言葉がみつからないのです。彼女の30代という時代は苦しみや悲しみもあったでしょうしそれを乗り越えてきた努力は語りきれないと思います。現在95歳、先月日本公演のために来日して今も尚変わらずの情熱的な演奏をされました。この凛とした生き方、ピアノ演奏、感性は日本人としてそして女性として、そしてなんと言ってもピアニストとして私の憧れであり、少しでも(できる事なら…ではありますが)近づきたいと思います。久しぶりに聴いた『Long Yellow Road 』、やはり感動です。この曲は、満州の土煙の道と黄色人種の自分が長く険しい道を歩む決意を重ねた、自分の人生を象徴する曲…と語られています。満州からの過酷な帰国等、現代を生きる私達には計り知れない思いで生き抜いていらっしゃった…。今日お届けの曲は『Long Yellow Road 』、ジャズを愛し、音楽を愛する日本人の心に生き続ける名曲です。彼女の強さ優しさ、色んな事が演奏を通して伝わってきます。力強く情熱的な演奏…きっとあなたに様々な力をもたらしてくれます。秋吉敏子の素晴らしいピアノと一緒にあなたに素敵な秋の夜のひとときが訪れますように。
dially
月も星も美しさが増す10月、Luiz Bonfa を聴きながら…
ふと考えてみると、、、10月という月は微妙な月で、でもなんというのか…魅力ある月、夏から冬に向かう前の自然の動き、それに合わせて変化する「人」の生活的な動き、そして感情…私の感性に色んな刺激を与えてくれます…現実的な言い方をすれば、過ごしやすい気候の中で色んなことを考える時間を与えてくれる…そんな月と思います。夜空を観れば(私は子供の頃から夜空を観るのが大好きで、今もそこは変わらずの大人になりました)「月」も「星」も凄く美しく、秋の夜風に吹かれながら星の輝きを観るのも最高、一人ゆっくりとリラックスするには10月という月は最適…。是非、この10月ならではのひとときを味わってみてくださいね。こんな快適な清々しい夜、美しい「月」や「星」と一緒にLuiz Bonfa のこのアルバムがとても似合う。。。The Bonfa Magic というアルバムは彼の全盛期の数多くの作品を集大成して作成されたものですが、技巧的な面は当然変わらず、それ以上に感性的な、私達の感情に語りかけるような演奏はこのアルバムの方が魅力的かもしれない…と思ったりします。実際にLuiz Bonfa は、穏やかで気品に満ちた小粋な人柄…と周りの仕事関係者、仲間達から言われていたとのこと。そうなんです。演奏…というのは人間性が表れるのです。自分自身、演奏をしていてつくづく感じます。だからこそいつも穏やかで優しい気持ちを持ち続けたい…と思う日々です。今夜はそんな10月の夜空を眺めながらBonfa のサウンドと過ごしてくださいね。きっと穏やかな空気に包まれたひとときになります。Luiz Bonfa アルバムThe Bonfa Magic から『Subtle Samba 』、、、あなたに私の想い届きますように。
秋の感傷的な気分とエロス感が心地良い曲、Jamiroquai 『Everyday 』
Jamiroquai ファンとしては、やっぱり初期の作品が出てきてしまいますが…この曲も彼(Jay Kay )らしいエロスを感じる格好良さ(やはり音楽というのは、良い意味でエロス感は必要不可欠な世界観かと思うのです)がたまらなく好きです。10月になり、秋の香りがようやく漂いはじめました。秋ならではの美しい光景もありますが、やはり何処、感傷的な気分になります。でも、その感じがなんか好き。。。少し苦いけれどコーヒーの奥深い美味しさを初めて知った時、或いは大好きな人がいてその人の事を考えるだけで涙が出る、でもその涙の意味は哀しいとかではなくて好きな人の事を考えている幸せな甘さも入っている、なんて事を知った年頃…10代の頃の想いですが、そんなbitter sweet な想いを今も忘れない大人でいたい…と思ったりします。秋の夜、いろんな事を考えながら美味しい飲み物(最近はルイボスティーにハマっています)と一緒に聴くJamiroquai のスローナンバーも最高です。この先のこと、好きな人のこと、そして今の自分のこと、、、静かにいろんなことを考えていると、ふっと穏やかな自分を取り戻せたような気分になります。そんな思いをあなたにも…。今日お届けの曲、Jamiroquai のアルバムTravelling Without Moving から『Everyday 』、こんな曲を聴きながらお洒落な気分に浸って過ごすのも素敵な秋の夜のひとときです。美味しい飲み物と一緒にね…。そして、今月もあなたらしく過ごしてくださいね。
甘くて切ない、、、美しい「月」のようなサウンド…『Crystal Silence 』
今日お届けの曲は、Chick Corea とGary Burton のDuoアルバムCrystal Silence からの一曲です。この曲は私自身大好きな曲で、自分の演奏の時もよく弾いていますが、もともとChick Corea のアルバムReturn To Forever で知りました。こちらはエレピで演奏してソプラノサックスが旋律をとっています。初めて聴いた時、この彼の奏でるローズの音色の美しさに感動してそして、今でもローズ音の優しさ、美しさ、と言ったらChick Coreaが世界一…と思います。今日のアルバムは、Chick Corea のアコースティックピアノとGary Burton のVibe でのスタイルですが、こちらも素晴らしくGary Burton のVibeの音色はまさに「Crystal 」そのもの…。儚げな月を音にしたらこんな世界観になるのかな…なんて思わせてくれるサウンドです。そこにChick Corea の凛とした、でも優しくて美しいアコースティックピアノの音色がさらにVibeの透明感を引き出してる…そんな感じがたまらなく心地いい。。。あらためて名盤だなぁ…と久しぶりに聴き入りました。今回あなたに贈る曲はその中からアルバムタイトルにもなっている『Crystal Silence 』。秋の夜空を眺めながら是非聴き入ってくださいね。きっとあなたもこのサウンドの虜になります。素敵なひとときになりますように…。
秋の夜、Nat King Coleの歌声と過ごすひととき
ようやく秋らしくなってきました。夜は少し寒く感じます。夜空…というものに子供の頃から興味があった私。この夜空のずっと先はどうなっているんだろう、誰がいるのか、何があるのか…先の先のさらに先は…?なんて一晩中でも考えてしまう子供でしたが、大人になった今もそういうところは相変わらずあり、答えの出ないよくわからない感覚のまま…でも夜空を眺めるのが好きで1人静かにそんな時間を過ごしながら自分をリセットしています。今の季節、9月10月はアンドロメダ銀河を観望するにはうってつけの時期。。。私達の住む地球がある銀河系、天の川銀河から1番近いアンドロメダ銀河は望遠鏡でなくても双眼鏡で見つけられます。都会の夜は明るすぎて無理ですが自然の中で夜が更けて高く昇った銀河…今の時期なら条件さえそろえば肉眼で眺められます。去年、まさにそんな感動的な経験をして、さらに夜空を眺める事が自分にとって大切なひとときになりました。今年は都会中心の生活ではありますが、アンドロメダ銀河をみつけるためにちょっと車で出かけてみようかな…と思ったりします。今日お届けの曲はNat King Cole が歌う『Stardust 』。私自身、演奏の1番最後に「今日も聴いて頂いてありがとう…、おやすみなさい…」と想いを込めて演奏する曲のひとつです。色んなミュージシャンが歌っていますが、私は彼の歌う『Stardust 』が1番好き。秋の夜空にNat King Cole の歌声が甘く優しく似合います。色んな悩みもこうして宇宙単位で考えたらちっぽけな事…。そんなふうに自然の力は教えてくれます。名曲『Stardust 』とアンドロメダ銀河(みつけられますように…)の美しさが素晴らしく似合うこの時期、素敵時間があなたにも訪れますように。
孤独は『美』、bitter な感覚を教えてくれた偉大なるミュージシャンSTING …
今、STING が日本に来ています。私の住む地域でもライブが開催されました。私は残念ながら仕事で行くことはできませんでしたが、変わらずの格好良さ、怖いほどにそしてクールなまでに凛とした佇まい、演奏&歌のクオリティ、ネットを通して入ってきた情報で知り、熱く感動しています。このSting という人は素晴らしい才能や感性、知的な人間性…カッコいい外見…これだけのものを持っているミュージシャンですから当然、様々な『人』にも恵まれ、そして今ではそれ以上のはずですが、ずっと孤独…という感覚の中で生き続けている人なんだろうな…と思います。そして、だからこそ私達周りから見るとさらに魅力的なのだろうと。私が初めてSting を知ったのは大学生の頃でした。彼の歌う曲を聴いていると涙が溢れる淋しさ哀しさそして孤独感を感じますが、何故だかその孤独という中に悲壮感というよりも『美』を感じる感覚が、美しい小説を読み終えた読後感、或いはどうしようもなく辛いことを乗り越えて少し大人になれた時の感覚と似ている…そんなふうに感じます。人間として生まれた以上、どんな環境の人もあるはずの孤独との付き合い方、人に流されない自分との対話…周りの動きに動じない、強い自分を持った彼のような大人に憧れ、そして目指しています。今日お届けの曲は彼の多くの名曲の中から『Shape Of My Heart 』。映画LEON の中では挿入歌としても使用されました。Sting の曲の中で私は1番好きな曲。。。ピアノソロの仕事の時は本当によく演奏しています。Bitter Sweet …こんな言葉が似合うSting の世界観。。。少し過ごしやすくなった今の季節、秋風と共に自分と見つめ合いながら静かに聴き入ってみるのも素敵なひとときかもしれません。そんな穏やかな空気に包まれた時間があなたにやってきますように…。
坂本龍一『美貌の青空』…曲も言葉も美しい響
子供の頃に「大きくなったら何になりたい?」と聞かれると「野良猫になりたい。。」と答える不思議な子でした。私にとっての野良猫は自由を手に入れた、まさに最高の自由人であり、当然そこに危険は伴いますがそれは何処にいても絶対的に安全な場所などなく(日本だって過去には戦争があったり、現在では災害の危険もあったり、あと、とても悲しい事ですが、、、自ら命を絶つ程の苦しみにあっている人もいたり…)自分を自らの責任の中で守りつつ自由に生きて行く、というのは子供の頃から何気に私の中では目指す方向性だったのかもしれません。そのせいか或いはたまたまか…私の職業、というか生業は「ピアノ弾き」という典型的自由業…仕事がなくなったら廃業、という考えてみたら恐ろしい職業ですが、なんだかんだとありがたく生き続けられている事はまさに奇跡であり、感謝しかありません。とは言っても、、、そんな中でもやはり野良猫ちゃんのような自由さ…というのは私にとってはずっと憧れであり、持ち続けたい生き方、というか、私らしくいるにはやっぱり必要な感覚なのですね。。。勿論、自分の責任のもとでね…。今日の曲は坂本龍一の『Bibo no Aozora 』美貌の青空。綺麗な日本語だなあ…と思います。哀しいほどに美しいメロディ。そして、なんといっても教授の演奏は、感情に任せてピアノを叩かない。でもしっかりとしたタッチで繊細な旋律を生み出す。良い意味で自分を抑え抑え、その胸の内を代弁するかのようなピアノでの表現。このタッチ感や感情表現は私の目指すところです。野良猫ちゃん達も今日のような秋空を見て感動しつつ、フラリ気ままに過ごしているかも…と思うとちょっと羨ましい…。なんて思いながら道行く野良ちゃんに話かけたりする私です。坂本龍一『Bibo no Aozora 』。空を眺めて美しいと感じる感覚を失わないでいることは、優しくいられることと共存していると思います。秋空の美しさと共にあなたにも優しさに包まれた空気が舞い降りてきますように…。
笑顔が素敵な人…
ピアノの演奏を日々させて頂いている中で、お客様がお誕生日という事で『Happiest Birthday to You 』所謂、世界で1番有名なあのバースデーソングを贈り物として演奏する事が度々あります。その後、その流れで私は『Smile』をよく演奏しています。私の好きな曲であることと、バースデーソングをF コードで演奏するのでその繋がりとして『Smile』も私の場合F なので物理的にもやり易い…という色々な好都合が揃って、という裏事情もあったりしますが、でもとても雰囲気よく仕上がるのでこの演出は私のお気に入りです。そんな時のゲストの表情、その周りにいる人たち、、、やはり人は怒っているよりも笑っている時の方がその人も魅力的だし、周りもなんだか幸せ感の空気に包まれますね。今日お届けの曲は、その『Smile』をあなたに…。様々なアーティスト達が歌い、今も尚継がれていますが、今日はNatalie Cole のアルバムUnforgettable の中の『Smile』をお届けします。笑顔が素敵…私にとって惹かれてしまう事のひとつです。普段、どんなに寡黙であったり、強面だったり、苦虫を潰した様な表情だったりする人でもふとした時に見えた時の笑顔が魅力的な人…その人の人柄や生き方を「素敵…」と思わせてしまう力がありますね。意味もなく笑っている必要はありませんが、嬉しかったり楽しかったり幸せを感じた時だったりしたらストレートに笑顔が出る…そんなふうに自分に素直な表情(自分を作らず)を自然に出している時がなんだかんだ言っても1番魅力的且、格好良く見えることなのかもしれません。Natalie Cole …Nat King Cole の娘である事は言うまでもありませんが、素晴らしいヴォーカリストですが2015年に亡くなっています。偉大すぎる父、彼女のヴォーカリストとしての名声、様々な悩みの中生きて、その中で健康的な問題も抱えていたようです。彼女の遺してくれた作品はどれだけ私達に笑顔を与えてくれているか…respectの気持ちと共に今日は彼女の歌う『Smile』に酔いしれてくださいね。笑顔が素敵なあなたへ…。
『中原中也』の描く詩の儚さ美しさ…nostalgic…たまらなく好き
最近の仕事の中心がピアノソロという事もあり(バンドでなく)演奏の合間の空き時間、所謂休憩時間を1人で過ごすことが多くなりました。バンド仲間との仕事の場合は仲間達ととりとめもない話をしたり次のステージの打ち合わせ(実際にはそうたいしてしませんが笑)をしたり、と時間は過ぎますが1人で空き時間を過ごしているとスマホを見て過ごすことが多くなり、それはそれで悪くはないのですが、空き時間の度、となると流石に眼にもよくない…それ以上に演奏、そして音で表現する仕事をしている身として、物凄く感性的、感情的なものが奪われているように感じ始めて最近は短編集や詩集を読んで過ごしています。あらたに読む本になるとこれまた変に集中してしまって仕事に支障をきたす…というわけで過去に読んで今も尚大好きな本を読んでいます。その中から『中原中也』…彼の詩が私は大好きです。かなりの変わった人間だったようですが彼の切なさと美しさが入り混じった、でも時には人間らしい投げやり的な哀しさが全面に出てそれを言葉にぶつけようとする詩…どれも読んでいて儚い余韻が残ります。私もこんなピアノが弾きたい…と思ったりもします。擦り切れる程読んだ詩集…これもまた私の宝物。『中原中也』…私の中では大きな存在です。Kenny Burrell のアルバムMoon and Sand 、これも私の好きなアルバムの一枚です。今は廃盤になり入手できないとのこと。その中から『My Ship 』…この静かで美しい音の中で中原中也の詩を読んでいると涙が溢れている自分に気付きます。あなたにもどうかこの想い届きますように。そして、今夜も静かで穏やかな素敵な夜になりますように…。
藤井風『It Ain’t Over 』…優しく穏やかに死生観を感じる秋の夜です
失礼ながら…特にファンでもなく、特によく聴いているミュージシャンでもなかったのですが、たまたま音楽情報のネットサイトで入ってきてこのリリースされたばかりのアルバムを知りました。そして『It Ain’t Over 』というこの曲。。。この人の死生観は悲しみではなく生命体全てに訪れること…誰もがhome に帰るように、、、終わりではなく静かに帰っていく場所。私も常日頃考える死生観はそんなふうに思っています。実際に死んだ後のことは誰にもわかりませんが(今生きている私達は当然死んだことがないから生きている訳で)必ず言える事は、人生の終わりは誰にも必ず訪れる…。色んな事を深く考えるところが子供の頃からある私は、夕陽の向こうに何があるんだろう、宇宙の先はどうなっているんだろう、人は死んだ後何処にいくのだろう、、、楽しく遊んでいる裏腹にいつもこんな事を考えている面倒くさい子でした。今も何処かそういった面を持っている自覚はありますが、大人になった今、これは大切に持ち続けたい感覚…と思っています。『藤井風』というミュージシャン、彼の創り上げる想いを込めた世界は1人の詩人であり、1人の哲学者かな…と思ったりもします。そしてこの曲に於いてはこのサウンド、音を詰め込みすぎず、そこから生まれる「音の間」に言葉にならない感情、余韻が入り、優しく穏やかな死生観を感じる…。やはり深く考える人でい続けたい…とあらためて感じさせてくれる素晴らしいミュージシャンです。夜は少し過ごしやすくなってきました。9月の夜のひととき、優しく穏やかな空気があなたに舞い降りてきますように。。。