最近よく聴いているミュージシャンがこのKurt Rosenwinkel です。アメリカのジャズギタリストですが、スーパーギタリスト、ギターヒーロー、様々な肩書がある人で、バリトンギターで語りかけるようなギターから破壊を感じるほどの刺激的なアプローチまでどれも素晴らしく、特に音に集中して気分をリセットしたい時には、今回お届けするような彼の率いるKurt Rosenwinkel Group の演奏は凄くテンションを上げてくれます。何というのか…例えば、ロック好きな人がロックフェスに行って最高にenjoyしたよ!なんていう感じに似ていますネ。今日お届けするアルバムは、2008年NY Village Vanguard でのライブ盤。どのジャンルも一緒ですが、素晴らしい音楽は破壊力を持っていてもうるさくない。寧ろ、刺激を与えてくれてアグレッシブな気持ちにしてくれるチカラを持っています。自分が演奏する時も忘れてはならない事、、といつもこういったプレイを聴く度に思います。今日はそのアルバムの中からあなたにこの曲を…。『Chords 』。たまにはこんなプログレ的なジャズを『音』に集中して聴きいってみるのも素敵な時間です。今夜はジャズの圧倒的な破壊力に酔いしれてみて下さいね。そして、今週もエネルギッシュな毎日になりますように…!
dially
シンプルに感動。アップデートされていく音の世界…。
皆さんはTATSUYA というBEATBOX (ヴォイスパーカッション)のミュージシャンをご存知でしょうか。ジャズを中心に演奏活動している私ですが、ふとした事で彼を知りました。リズム…という世界観は音楽にとって、それがクラシックでも、、実は物凄く全ての楽器において重要な感覚であり、それを実際に作り出す打楽器(ドラムやクラシック界では小太鼓、テインパニー、シンバル等)奏者は特にキーマンとも言える存在なのです。そのリズムセクションを楽器でなく自分の声でやってしまう…そんな一つの素晴らしいアーティストの一人がこのTATSUYA という人です。彼のBEATBOX は音色の美しさもグルーヴもダイナミクスのセンスも、全てもう感動的です。時代と共に音の世界もアップデートされていくとはこういう事なのか…と思わされます。今日は、そのTATSUYA が参加しているバンド『晋平太&ゆゆうた&虹色侍ずま& TATSUYA 』をお届けです。即興バンドとして活躍しているグループですが、虹色侍の創り出す旋律、それに乗せての歌詞、シンプルに心打たれます。あなたにもそんな世界観を今日はお届け。『LINE 』。ヴォーカルとラップ、バックの演奏はピアノとヴォイスパーカッションのみ。これもちょっとした感動です。ちょっぴり切ない青春の歌ですが、ピュアな気持ちにさせてくれますネ。素敵なひとときになりますように…。
偉大なる作曲家そしてJAZZ SAX奏者 Benny Golson の残してくれた沢山の宝物
JAZZ界を代表する偉大なる作曲家そしてサックス奏者のBenny Golson が先月末に亡くなりました。享年95歳でした。Benny Golson といえば『I Remember Clifford 』『Killer Joe 』等の名曲の作曲者で、スタンダードナンバーとして私達ジャズを演奏する人間は彼の曲を当たり前のように演奏させて頂いています。スモーキーだけれど甘い音色、一度聴いたら忘れられないメロディと洗練されたコード、演奏家としても作曲家としてもこの時代(1950年代)トップのミュージシャンの一人だったと思います。この時代…とは言いましたが、、現在の時代においてもなんの衰えもないサックスの音色、アプローチ、、まさに音楽のために生まれてきて、音楽のために生き抜かれた…素晴らし過ぎる巨匠です。代表曲はありすぎて選べないほどですが、今夜は心地良い秋風と共に月を眺めながら彼のアルバムをずっと聴いて過ごそうかな…。そして、あなたに今日はこの曲をお届けします。彼の最後のスタジオ録音アルバムHorizon Ahead から『Horizon Ahead 』。リリース当時、87歳という年齢など感じさせないサックス演奏、叙情的で切なく私の心に語りかけます。彼のインタヴュー記事で見た作曲家としての語りです。「自分の心で感じたことを書かなければならない。人々を喜ばせるために書くことはできない。自分が感じていることでなければならない。そうでなければ全てが無意味になって、嘘になってしまうんだよ。自分に正直でなければならない…」その記事を読んで彼の音楽感そして人間性を知りました。Benny Golson のサックスには魂の囁きを感じます。その彼から産まれたメロディは彼の優しさ強さと共に私の心に響いてくるのです。月の綺麗な季節、Benny Golson の残してくれた素敵なサウンドと過ごす贅沢なひととき…いろんな事に感謝の思いを込めながら。
月明かりとPat Metheny 、最高…。
月が綺麗な季節です。だんだんと秋の風も感じますね。こんな日の夜には月を眺めながら静かに大好きなアルバムを聴く…私にとっては何よりも贅沢な時間です。こんな月夜をもっともっと素敵にしてくれる私の大好きな曲をあなたにお届けします。Pat Metheny のアルバムMoon Dial 。ナイロン弦のバリトンギターで演奏したギターソロ作品です。昔から大好きなギタリストの一人で、特に彼の世界観は、詩、或は美しい小説のようなギターの音色、アプローチで、メッセージ性のある激しい展開のプログレ的な曲もカッコよく刺激的ですが、その反対にそっと語りかけるような優しさを感じる美しさ、時には力強さ、ギターソロは本当に涙出る程に切なさを感じる…そんなギタリストです。その中でもこのアルバムは、バリトンギターの音色がたまらなく美しい。弦の震えや空気の振動まで感じます。綺麗な秋の月に似合う。自然がもたらす月の美しさと素晴らしい音楽のエネルギーを全身に受けていると、日常の様々な事を忘れて何処か知らない世界に連れて行ってくれます。本当はアルバム全て聴いて頂きたいのですが、今日はその中からあなたにこの曲を贈ります。『Falcon Love 』。穏やかな秋の夜に似合う、Pat Metheny のギター、素敵なひとときになりますように…。
歴史に思う、諸行無常…。美しい程の切なさを教えてくれた名画と音楽。
昨日の9/18、満州事変が勃発した日。この時代は現在の感覚では考えられない様々な動きがあった、、と教えられその様に解釈して学んできました。歴史的な事について個人の考えを述べることはあまりに危ない事と思いますので、その話は別の機会にするとして、満州事変と言うと私の中で登場する一人の人物が、愛新覚羅溥儀。この事変において溥儀は、関東軍とのやりとりで満州国を取り戻したものの、その後日本の敗戦と共に満州国は崩壊の道を辿る事になります。私にとってはそういった歴史においての存在だった、それがBernardo Bertolucci 監督による映画ラストエンペラーの主人公、溥儀 です。溥儀自身の人生は映画ラストエンペラーを観て知りました。国王だった存在から様々な背景とともに最後は庶民の暮らしになり、でもそれはそれで幸せな晩年だったのかもしれません。そして、このラストエンペラーという映画の最後のシーン、なんの色気もないブザーの音と、清王朝の歴史に微塵も興味がなさそうなツアーガイドの解説によって締め括られる…という時の流れの無常さ…。諸行無常…でもこの切ない時の流れを知る…私達の人生もそんなもの…何故か好きなラストシーンです。曲は言うまでもなく、坂本龍一氏による作品『The Last Emperor 』。秋の夜に似合う…。切ないけれど美しい…そんな世界観をあなたに…。素敵なひとときになりますように。
秋風と共に楽しむ月夜…そしてお洒落な音楽も…。
今日は日本を代表する作曲家、服部克久さんのアルバム音楽畑からのお届けです。まだまだ夏のような暑さが続いていますが夜はすっかり秋の風。夜空に浮かぶ月を眺めながら過ごすには最高の季節ですね。そんな時、私は車を運転しながら過ごすのが凄く好きです。車を運転しながら夜の街を眺めていると、車の窓から見える景色と自分だけの世界を行ったり来たりしている私がいて、いろんな事を考える時間がなんとなく面白い。その時の気分に合わせてお気に入りのBGM をかけながらゆっくりと走っていると通り慣れた街もちょっと見知らぬ街にきたような気分になります。今夜も月と一緒にドライブ、Night Cruise …に出かけてみようかな。。。と思います。今日は服部克久さんのアルバム音楽畑11と一緒に。言うまでもないレジェンドの作曲家服部克久さんは、ポップスもクラシックも分け隔てなくこなされる音楽家です。メッセージ性がありながらも優しく語りかけるような楽曲、日本人の強さをあらためて教えてくれる力強さのあるオーケストレーション、そして、なんと言ってもヨーロッパの街を思い起こさせるお洒落なリズムセクションの動き、本当に全てのジャンルのセンスを持ち合わされた方、まさに日本にお洒落な音楽…という世界観を持ち込まれた第一人者と思います。ご本人もお洒落で素敵な方でした。私が10代の頃は何曲かコードの動きを分析して、曲作りのヒントを頂いたりして、、と良き思い出です。さあ、今宵はあなたにもその素晴らしいアルバムの中からの一曲をお届けします。『Night Cruise 』。穏やかな秋の夜になりますように…。
BOLERO を聴きながら…。
日中はまだまだ太陽が眩しく、暑さは厳しい中ですが、やはり夜は秋の風を感じるようになってきました。夏の疲れも出る時、しっかり睡眠をとって身体を休めてあげて下さいね。秋の夜風を感じながら読書をしたり、ゆっくりと音楽を聴いたりしていると、四季のある日本の素晴らしさをあらためて感じます。夏の夜と比べると、なんとなく淋しさと切なさとが合わさって感傷的になる季節ですが…私は、この理由のない淋しさ切なさ、哀しさ、こういう感覚の世界に存在する美のようなものに何処か惹かれてしまうのです。ナルシシズムという感覚の一種なのでしょうか。こんな感覚こそ大切にしたいと思うのです。。 と、そんな事を想いながら今日はこの曲をお届けします。M.Ravel 作曲のBOLERO 。言うまでもなくクラシック音楽の中でもかなり有名な曲ですね。オーケストラの素晴らしさも感動的ですが、この押尾コータローさんのアコースティックギターソロのBOLERO も聴き入ってしまう、、本当に一人で演奏してるの?と思ってしまう位の音の厚み、ダイナミクス、素晴らしくて、初めて聴いた時は鳥肌がたちました。寧ろ、夜静かに一人で今の季節に聴くならコータローさんのBOLERO …。この曲の特徴は、あまりにも単調であまりにも長い…。そんな名曲です。この単調さの中の小さな音の変化が私は好きです。さらにそれに加えてコータローさんの繊細な弦の音色、演奏の展開がたまらなく好きです。今宵はあなたも押尾コータローさんのギターの音色に酔いしれてくださいね。素敵な秋の夜になりますように…。
色褪せないサウンド、私にとってのSergio Mendes …。
Sergio Mendes が亡くなりました。大学生の時、運転免許をとり、そこから私にとってドライブの時はいつも一緒、自分のピアノ演奏においても物凄く学ばせて頂いた人、偉大であり青春と共に過ごしてきた、そんな存在のミュージシャンです。若き頃から亡くなるまでずっと第一線で活躍されていた方なので時代と共に膨大な数の名盤をリリースされていますが、どれも素晴らしく、好きな曲を選べと言われても出てこない程です。どの曲を聴いても自分が歩んできた様々な時代に連れて行ってくれます。本当に素敵な曲と演奏をありがとう…。さようなら、Sergio Mendes 、私の中ではずっと生きています。音楽センスと同じく、亡くなるまでダンディでカッコいい男性でした。今夜もSergio Mendes を聴きながら静かに過ごそうかな…と思います。そして、今日、皆さんへのお届けはこの曲。Sergio Mendes & BRASIL’66 の『Pretty World 』。オーケストラアレンジにはDave Grusin が参加してます。Sergio Mendes の醸し出すリズムの世界にこのストリングス、、、素敵ですね。Rest in peace Sergio Mendes …。
一人きりで楽しむドライブ…。
9月になりました。台風10号の影響で雨が降ったり止んだり、、と自然の法則に従わざるを得ない状況でのスタートです。皆さんは体調、そして災害の影響は大丈夫でしょうか。自然の流れに身を任せて…とは言ってもせっかく神様からいただいた生命、大切に守って過ごして下さいね。9月になってもまだまだ暑さは変わりませんが暦の上では秋。海辺はすっかり人が少なくなり静かな日常が戻り始めました。都会で仕事中心の生活をしていると空も見ない、当然夕陽なんて見る心のゆとりもないまま夜になり、、と、この繰り返し、人や物事に対しても時に攻撃的になってしまったり、どんどん自分が嫌な人になっていくのを感じます。そんなふうに限界を超えた精神になった時には私は海を眺めに車を走らせます。それが夜中であっても。地球の源は海であり、人間の原点も海である…と思っています。(科学的には実際わかりませんが笑)海を眺めて波の音に耳を傾けているとすう〜っと心が洗われていくのがわかります。これからの季節、人のいない海に一人静かに佇んでいると自然と自分が一体化していくような感じになり、それが凄く心地良く、穏やかな気持ちを取り戻させてくれるよう。そうやって海に向かっている運転中に聴いている一曲をあなたに贈ります。Lisa Shaw というカナダ出身のハウス系、クラブシーンで活躍するヴォーカリスト。grooveの効いたエレクトリックなリズムに彼女のsexy voiceがカッコよくハマり、夜のドライブには最高です。クラブに行った事のある人なら誰でも彼女の声は聴いた事があるのではないでしょうか。アルバムFree から『All Night High 』。今月もあなたらしく過ごして下さいね。素敵な9月になりますように…。
圧巻…!心地良ささえ感じる超絶なswing感…!
今日は、最近音楽雑誌で知ったトランペッターのお届けです。松井秀太郎 という20代前半の彼ですが、もうとにかく素晴らしい…としか言いようのないミュージシャンです。もともと、幼少期からクラシックでスタートしたという事…。確かに管楽器を子供の頃から学んでいる人はほぼクラシック奏者なのですが、、、大学からジャズを学び始めた、というのにこのswing感、アドリブのアプローチ展開、圧巻です。音色は何処までも美しく切なく、でも繰り広げていくアプローチはアグレッシブかつ繊細な展開。人生、生きてきてまだ20数年しか経っていないのにきっと彼はフィジカル面の練習だけでなくいろんな感性を養ってきたのだろう…彼の五感に働きかけているもの全てが音となって表現されている…優しくもあり強さも持った人なんだろう…と感じています。どのミュージシャンもそうだったように、この世代のミュージシャン達は物凄いテクニックをこれでもか…という位前面に出し(それでいいのです。20代に出せるアプローチ、というものもありますから)ある程度こちらも構えて聴かないと時に疲れてしまったりするのですが、彼から醸し出されるサウンドは、リズムの安定感、音色の美しさ(これは長い期間の中で様々なシチュエーションにおかされて本来なら鍛えられていくものなのです)を元に、日頃鍛え抜かれた超絶技巧の展開、疲れどころか、どれだけでも深く深く入っていきたくなる、吸い込まれていく心地良ささえ感じます。素晴らしいトランペッター松井秀太郎君です。今日はアルバムSTEPS OF THE BLUE から『Hypnosis 』をあなたに贈ります。感性…というものは年齢は関係ないのかもしれません。人間としての大きさや人柄、美しい物や感覚への拘り、、。人は感情を持った生命体。いつも向上心と自分の感情に素直でいられる生き方をし続けていきたいですね。